草原
第3回大会・2日目 平成29年6月18日(日)/分科会概要
 午前(10時から12時)/3分科会 【場所:良心館 3F・4F】
日本財団プログラム報告会(就労移行)

日本財団と米国マサチューセッツ大学ボストン校・地域包摂研究所(Institution for Community Inclusion)の共催で、2016年10月に「平成28年度・障害学生支援に係るリーダー育成研修」が実施された(後援:AHEAD JAPAN)。この1週間の研修では、参加校は米国の大学での障害学生支援と就労移行の接続に関する現状を知り、日米の比較を通じて、参加校それぞれが、今後必要となる新しい取り組みを模索した。本分科会では、研修の内容や米国の現状、得られた成果について報告する。

司会進行:近藤武夫(東京大学)、高橋知音(信州大学)
合理的配慮と紛争 —予防のための建設的対話を考える

大学等での合理的配慮は、障害学生のニーズと提供する側の過重な負担との間で意見の相違・対立が想定される。不当な差別的取り扱いやハラスメントを防ぎ、一方で、適切な合理的配慮を提供する上で、紛争に至りうる権利の衝突ではなく、双方が同じ目標を目指す「建設的対話」が求められる。本分科会は、日本の差別解消法の特徴でもある「建設的対話」について、高等教育の現場でのあり方について、議論の端緒としたい。

司会進行:竹田一則(筑波大学)、白澤麻弓(筑波技術大学)、石川 准(静岡県立大学)、福永博俊(長崎大学)
学外実習や資格認定における合理的配慮

学外実習は日頃の授業とは異なり、実習内容や多様な環境要因に応じて、個別に対応し合理的配慮に関する検討や調整が行われる必要がある。加えて、学外実習が資格認定やキャリア形成、卒後の進路へと直結することも多い。にもかかわらず、好事例はもちろん、うまくいかなかった支援事例などは潜在化されていて次に活かされてないことも多いであろう。

そこで本分科会では、さまざまな実践例を活発に情報交換し、学外実習での合理的配慮や支援の考え方ついて共有する機会としたい。

司会進行:渡辺崇史(日本福祉大学)、西村優紀美(富山大学)、松崎 丈(宮城教育大学)
 午後(13時から15時)/5分科会【場所:良心館 3F・4F】
はじめての障害学生支援

昨年4月障害者差別解消法が施行され、障害学生への支援はすべての大学における責務となった。しかし全国の大学の中には、これまで障害学生の入学が少なかったために、今後、体制整備に向けて準備が必要な大学も多いのが現状だろう。

そこで本分科会では、近い将来に障害学生支援組織を立ち上げる予定のある大学や、組織を立ち上げて間もない大学の疑問に答える形で、支援に必要な組織のあり方ならびに各種事例に応じた支援方法等について解説していく予定である。

司会進行:白澤麻弓(筑波技術大学)、矢田直人(同志社大学)、松崎 丈(宮城教育大学)、渡辺崇史(日本福祉大学)
高大連携や入試での配慮のあり方

高等学校や特別支援学校高等部等に在籍する障害のある生徒が大学等へ進学するにあたって、これまで提供されてきた支援内容・方法を大学等へ円滑に引継ぐことに留意する必要がある。同時に、大学は高校等に対して、支援体制や制度、取組について情報発信を行ない、スムーズな移行・連携を行なっていくことも求められている。

本分科会では、大学入試における配慮に関する近年の動向を知るとともに、大学進学を希望する生徒に対する高大連携の在り方について、さらには、個別の教育支援計画の情報をどのように大学の支援につなげていくかについて考える機会としたい。

司会進行:西村優紀美(富山大学)、竹田一則(筑波大学)
ICT技術の活用とアクセシビリティ保障

高等教育における障害学生支援では授業での合理的配慮が重要な位置を占めてきた。従来の支援方法は、教員から学生への一方向の講義型授業を基盤として考案されてきたものが多い。しかし、昨今の大学等では、双方向型・共創型・問題解決型のアクティブ・ラーニングや、反転学習等が、主流になりつつある。ICT技術の活用は多様な学生の参加を可能にするものとして期待できる反面、新たな阻害要因にもなり得る。

本分科会では、授業・試験・評価といった大学教育において、ICT技術の活用がもたらす合理的配慮と質保証のあり方の現状と課題を検討することを目的とする。

司会進行:佐野真理子(広島大学)、広瀬洋子(放送大学)、中野泰志(慶応義塾大学)、石川 准(静岡県立大学)
地域における社会資源との連携

障害者差別解消法により大学等における合理的配慮の必要性は明確になったが、大学等への通学の支援や構内での専門的な身辺介助等の必要性が生じた場合、地域の社会資源との連携が必要になるケースも少なくない。個々の学生の状態やニーズに応じて状況は異なるが、現時点での解決策は機関ごとの考え方や地域性によって様々である。

本分科会では、様々な事例を共有した上で、このような支援のあり方について考える機会としたい。

司会進行:村田 淳(京都大学)、柏倉秀克(日本福祉大学)
高専における合理的配慮

高専では、専任の支援者を配置することが難しい一方、国立の高等教育機関として合理的配慮が義務化されている。こうした状況で、障害学生支援においてどのような課題があり、どのような対応が可能なのか、参加者同士の実践例の共有とディスカッションを通して考える。必要に応じて、大学での取組例についての情報も提供し、高専での支援のあり方について全員で検討する。

司会進行:高橋知音(信州大学)、福永博俊(長崎大学)

以上