高等教育と障害 / 第1巻 第1号

原著

弱視学生支援サービスに対する健常学生の妥当性評価とそれに及ぼす個人要因の影響

相羽 大輔・奈良 里紗
2019年 1巻 1号 p.13-23
DOI: 10.34322/jhed.1.13
要旨
本研究の目的は,弱視学生支援サービスに対する健常学生の態度構造を検討した上で,弱視学生支援サービスの妥当性評価に及ぼす健常学生の個人要因の影響を検討することであった。調査協力者は418名の健常学生であり,弱視学生が大学に合理的配慮を要請する場面を設定した上で,新たに作成した弱視学生支援サービス項目への回答を求めた。因子分析の結果,弱視学生支援サービスは授業支援,成績評価,組織支援に区別でき,内容の多次元性が明らかにされた。各支援サービスに対する健常学生の妥当性評価に及ぼす個人要因(会話・友人・関心・職種)の影響を多元配置分散分析により検討したところ,関心と希望職種の影響はすべての支援サービスに見い出され,関心の有群は無群よりも,また,支援職群は一般職群よりも態度が肯定的であった。一方,会話の影響は組織支援だけに見い出され,経験の有群は無群よりも態度が肯定的であり,支援体制の整備・拡充において弱視学生自らの働きかけの重要性が明らかにされた。
キーワード
弱視学生 合理的配慮 支援サービス 障害開示 援助要請
本文
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