高等教育と障害 / 第1巻 第1号

実践・研究報告

高等教育機関における障害学生が抱える困りごとの検討

―自由記述回答の分析を通して―

後藤 悠里・佐藤 剛介・村田 淳・望月 直人・桑原 斉・中津 真美・植田 健男
2019年 1巻 1号 p.34-44
DOI: 10.34322/jhed.1.34
要旨
高等教育機関における障害学生の実態についてはいくつかの調査報告があるが,障害学生の「困りごと」を十分に捉えきれておらず,支援者による経験をベースにした事例がほとんどである。そこで本研究では,高等教育機関に在籍する障害学生を対象にしたウェブ調査において,自由記述式で困りごとの把握を試みた。加えて,その困りごとが解決したかどうか,またどういった相手や機関に相談したかについても尋ねた。55名の障害学生が129件の困りごとを挙げた。そのうち,解決に至っていない課題が59件と,全件数の半分近くを占めることが明らかになった。困りごとが解決されない原因として,適切な相手や機関に相談していない可能性,合理的配慮を提供する高等教育機関の体制の不十分さによる可能性,合理的配慮提供の枠組みでは解決できない可能性の3つが考えられる。
キーワード
障害学生 困りごと 合理的配慮 啓発活動
本文
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