高等教育と障害 / 第2巻 第1号

資料

高等教育機関における障害学生支援に関するエビデンス ―障害学生支援担当者と国立大学の現状―

佐藤 剛介・望月 直人・村田 淳・後藤 悠里・ 桑原 斉・中津 真美・植田 健男
2020年 2巻 1号 p.1-13
DOI:10.34322/jhed.2.03
要旨
本研究の目的は,高等教育機関に対して実施した悉皆調査(2017年1月)の結果から,国立大学における障害学生支援担当者および障害学生支援担当部署の状況や特徴を明らかにすることである。障害学生支援担当者260名と国立大学40校についての解析結果より,多くの支援担当者が任期付きであり,そのうち30%が3年以内の任期であったこと,また,支援担当者の25%は高等教育機関における障害学生支援経験が1年に満たないことが示された。国立大学の障害学生支援担当部署の取り組みについては,多くが不十分であると考えられており,特にホームページの整備,学生サポーター制度や災害時・防災における障害学生支援対応については低評価であった。障害学生支援担当者から今後高等教育機関が取り組むべき課題として最も多く挙げられたのは,予算獲得,学内連携,啓発活動(教職員の理解促進)であった。本調査は障害者差別解消法施行1年後に実施されたものであるが,さらなる体制整備の必要性を示唆する結果であった。
キーワード
障害学生支援 支援担当者 専門性 合理的配慮
本文
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