高等教育と障害 / 第2巻 第1号

実践・研究報告

発達障害学生における小集団エンパワメントグループによる修学上の困り感への支援 ―発達障害のある学生と障害のない学生によるグループ活動の試行的取り組み―

末吉 彩香・佐々木 銀河・竹田 一則
2020年 2巻 1号 p.34-46
DOI:10.34322/jhed.2.05
要旨
多様なニーズに応える修学支援の一環として,発達障害のある学生と障害のない学生が同じ場で学生生活の困りごとや工夫を話し合う,小集団エンパワメントグループを実施した。障害名を開示しない状況での活動が各学生に与える影響や,発達障害学生支援におけるピア・サポートの実現可能性について検討した。活動には,発達障害学生 7 名と,発達障害学生支援に関心のある障害のない学生 5 名が参加した。事後アンケートでは,グループ活動が,障害の有無にかかわらず学生同士が修学上の悩みの共有や解決方法を提案し合う互恵的な関係の形成に寄与し,合理的配慮の範囲に含まれないインフォーマルな支援を提供する手段として機能した可能性が示された。また,グループ活動において,障害名の開示は必ずしも必要とされない可能性も併せて示唆された。今後は厳密な実験デザインに基づいた効果検証により,グループ活動の効果をより明確かつ詳細に明らかにする必要がある。
キーワード
発達障害 小集団活動 障害開示 ピア・サポート
本文
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