高等教育と障害 / 第1巻 第1号

資料

障害者差別解消法施行に伴う日本の国立大学におけるディプロマ・ポリシーの課題

真名瀬陽平・佐々木銀河・五味 洋一・竹田 一則
2019年 1巻 1号 p.74-83
DOI: 10.34322/jhed.1.74
要旨
本研究の目的は,日本における国立大学のディプロマ・ポリシーが,合理的配慮の判断資料としたときに,どのような課題があるのかをオーストラリアのInherent Requirement(以下,IR)と比較し,検討することである。956学部のディプロマ・ポリシーの学位授与水準を対象に,どのような単語が多く用いられるのかを調査し,その後,「読む・書く・聞く・話す・コミュニケーション」といった障害のある学生にとって困難になりやすいスキルについて言及している単語を使用した学部数と使用例を調査した。その結果,コミュニケーションなど,具体的にどのような能力を求めているのかが不明確な記述が多く,合理的配慮の判断資料としては不十分であると考えられた。そのため,IRやUniversity of Western Sydneyモデルのような,具体的な記述への改善や合理的配慮に関する記述が必要だと指摘された。
キーワード
ディプロマ・ポリシー 障害者差別解消法 Inherent Requirement 合理的配慮
本文
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