高等教育と障害 / 第1巻 第1号

展望

障害学生の教職キャリア形成における支援の現状と課題

―教育実習に関する研究動向と展望―

池谷 航介
2019年 1巻 1号 p.98-105
DOI: 10.34322/jhed.1.98
要旨
本稿は,わが国における障害学生の教育実習に関する研究から,これまでの変遷および現状と課題について整理し,今後の障害学生の教職キャリア形成に資するべく,研究の展望を実施することが目的である。対象となる論文の抽出にあたっては,論文検索システム(CiNii)を用いた。2018年1月1日時点において「障害」と「教育実習」の両方を含むフリーワード検索に該当した54件の論文の中から「障害学生による教育実習」について述べられているものを抽出した結果,12件の論文が認められた。以上の論文から考察を行うための分析方法として,まず年代別に取り組みに関する言及を収集して大まかな動向を把握し,次に実習前・実習中・実習後の3期に分けて整理した上で,課題を内容別に分類した。その結果,(1)教育実習という枠組みに関する課題,(2)実習校の決定に関する課題,(3)児童生徒らの学習権の保障に関する課題,以上の3点の課題が明らかになった。これらの結果を踏まえ,障害学生の教職キャリア形成にあたって充実した教育実習を実施するためには,さらに事例の収集を行って考察を進め,教育実習のあり方自体を再考する必要があるといえる。
キーワード
障害学生支援 教育実習 合理的配慮
本文
PDF DAISY DOCX