高等教育と障害 / 第2巻 第1号

実践・研究報告

自閉スペクトラム障害のある大学進学予定者への移行支援プログラムの実践

諏訪絵里子・稲月 聡子・望月 直人
2020年 2巻 1号 p.14-23
DOI:10.34322/jhed.2.02
要旨
高校から大学への移行は,自閉スペクトラム障害(ASD)のある青年にとって特に大きな困難を伴うが,それは大学生活ではより高次なレベルの自立と自己決定を必要とするためである。本研究は,ASD のある大学進学予定者に実施した,大学生活準備プログラムの作成過程とその実践の報告である。プログラムの目的を,参加者が大学教育や支援に対する理解を深める,心理的レディネスを高める,スタディスキルの基礎を習得する,自己理解を深め,困難への対処法を考える,当事者同士のつながりを作る,対人交流の機会とすることと定め,3 日間の連続プログラムを実施することで,より実践的な模擬体験となるようにした。参加者は日が経つにつれ相互に交流するようになり,グループ課題にも参加することができた。アンケート調査では,プログラムにより大学教育への理解やレディネスが高まったとの結果が示された一方で,参加者が自身の特性や大学での支援の必要性を理解するという点においては課題も示された結果となった。
キーワード
大学 移行支援 自閉スペクトラム障害(ASD)
本文
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