高等教育と障害 / 第1巻 第1号

タイトル

看護系大学における慢性疾患の学生に対する授業での困り事と対応の実態

河合 洋子・大見サキエ・合田 友美・滝川 国芳
2019年 1巻 1号 p.52-60
DOI: 10.34322/jhed.1.52
要旨
本研究の目的は,慢性疾患の学生に対して教員の授業での困り事と対策の実態を明らかにすることである。2015年11月,日本看護系大学250校を対象に無記名質問紙調査を行い,90校より回答を得た。慢性疾患の学生が1名以上在籍する大学は約80%で,おもな疾患は糖尿病,てんかん,悪性新生物等であった。授業で特に困った内容は,講義はてんかん発作,演習では運動制限であった。実習では同様の困り事に対し,実習施設との調整や受け持ち患者の選定,緊急時の対応をしていた。慢性疾患の学生支援で困難なこととして,『学生の情報の保護と管理が困難』,『自己申告のため対応が困難』,『学生への関わりが困難』,『学部・学科の支援体制の整備不足による困難』,『本人・家族の認識不足からくる困難』など6のカテゴリーが抽出された。慢性疾患の学生を支えるためには,学生支援体制を整えるなど組織として取り組むこと,また学生の自立を支えるために教員をサポートすることが重要である。
キーワード
慢性疾患の学生 授業での困り事と対応 看護学実習 教員の支援 学生支援
本文
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