高等教育と障害 / 第3巻 第1号

実践・研究報告

高等教育機関における意思疎通支援の実施状況に関する実態調査 ―情報保障の提供が困難となる要因について―

2021年 3巻 1号
DOI: 10.34322/jhed.3.01
要旨
本研究は,わが国における意思疎通支援,とりわけ情報保障の実施にあたり,各高等教育機関でどのような課題が生じているかを把握することが目的である。全国の高等教育機関1,132校における障害学生支援担当者を対象に,情報保障の実施状況についての質問紙調査を行い,414名(36.6%)の回答を得た。その結果,正課活動中において情報保障を必要としている学生に対し,情報保障を「いくつかは配置」および「未配置」との回答が31.7%にのぼった。この回答は,機関の種別でみると「短期大学」と「高等専門学校」において,また在籍学生数でみると「1,000人未満」の機関において顕著に多いことが確認された。また,情報保障の配置が滞る主要な要因としては「情報保障者(ノートテイカー等)の不足」が58.0%と最も多く,「授業形態の問題(野外活動・アクティブラーニング等)」「予算の不足」「情報保障者養成機能の不足」が約3割の機関で認められた。
キーワード
障害学生支援 合理的配慮 意思疎通支援
本文
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