高等教育と障害 / 第5巻 第1号

実践・研究報告

大学生の自閉スペクトラム症傾向と援助要請スタイルが適応感に及ぼす影響

2023年 5巻 1号
DOI: https://doi.org/10.34322/jhed.5.01
要旨
本研究の目的は,自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder,以下ASD)傾向と援助要請スタイルが適応感に及ぼす影響について検討することであった。大学生361名を対象に質問紙調査を行い,構造方程式モデリングによる解析を行ったところ,ASD傾向から自立的な援助要請と適応感に対して有意な負のパスが示され,回避的な援助要請に対して有意な正のパスが示された。また,自立的な援助要請から適応感へ有意な正のパス,回避的な援助要請から適応感へ有意な負のパスが示された。このことから,ASD傾向は直接的に適応感に影響を与えるとともに,援助要請スタイルを介して間接的に適応感に影響を与えることが示された。本研究から,ASD傾向がある学生の自立的な援助要請行動が適応感に重要な役割を果たすことが示唆され,ASD者が問題把握しやすくなるような支援を行うことによって,ASD者の援助要請行動を促進させることが重要であることが示された。
キーワード
自閉スペクトラム症傾向 援助要請スタイル 適応感
本文
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