高等教育と障害 / 第6巻 第1号

実践・研究報告

弱視学生が必要とするICT環境に対する大学教員の支援自己効力感に及ぼす個人要因の影響

2024年 6巻 1号
DOI: https://doi.org/10.34322/jhed.6.01
要旨
本研究の目的は,弱視学生が必要とする情報通信技術(ICT)環境に対する大学教員の態度構造を検討した上で,そうした環境整備に協力する際の大学教員の支援自己効力感に及ぼす個人要因の影響を検討することであった。調査協力者は393名の大学教員であり,弱視学生が大学に合理的配慮を要請する場面を設定した上で,新たに作成したICT環境整備項目への回答を求めた。因子分析の結果,環境整備はインフラ設備,機器利用・許可に区別でき,内容の多次元性が明らかにされた。カテゴリカル重回帰分析の結果,どちらの内容でも支援体制と関心は共通要因として大学教員の支援自己効力感を高め,インフラ設備でのみ,声掛けとファカルティ・ディベロップメント(FD)は独立要因として大学教員の支援自己効力感を高めることが見いだされた。これらのことから,弱視学生支援に関わるICT環境の整備に協力的な大学教員を増やすためには,大学の支援体制を整え,理解啓発により関心度を高めることであると示唆された。
キーワード
弱視学生 合理的配慮 ICT 障害開示 援助要請
本文
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